「自分の感情・気持ちを言葉にして、客観化し、自分のコントロールのもとに置く」ということは、どの子にとっても、どの人にとっても、とても重要な力です。
これをやれないと、例えばどんなことが起きるでしょうか?
●感情に乗っ取られて、誰かに暴力をふるってしまう。
●感情を他者と共有できないことによって、苦しいときに誰かに寄り添ってもらったり助けてもらうことも難しくなる。
●自分の言動や、意思決定・判断が、自分のコントロール外のものになってしまう。
●自分の感情を捉えることができないため、他者の感情への想像力も持ちづらい。
セルフコントロールのスキルを高める意味でも、クラス内の友達同士の人間関係づくりの意味でも、ひいてはその子が「自分の人生を自分でハンドリングしていく」ためにも、自分の感情を扱えるようになることは極めて大切です。
こちらは、大阪府人権教育研究協議会がつくっている教材、「いま、どんなきもち?」のポスターです。
※ポスター画像や教師用ガイドのダウンロードが以下のページから可能です。http://daijinkyo.in.coocan.jp/kyozai/page.htm
教師用ガイドには、4つのアクティビティが提示されています。
①「私は、〜の時、・・・と感じた」という短い文を、ポスターのいろんな表情を見ながら考え、小さなグループで伝え合う。
②表情がたくさん描かれたカードを用意し、「あなたが〜しているところのカードを選んで」と伝え子どもたちがカードを選ぶ。そのカードを選んだ理由を話したもらうように促す。
③1人4枚、喜怒哀楽のカードを持っておき、そこに「どんな時にその感情になったことがあるか」をそれぞれ書いておく。感情カードで”あいこ“になるまでじゃんけんをし、”あいこ”になったら、あらかじめ書いておいたことを相手に伝える。
④短文を読み、登場人物のことを想像して表情カードを選び、どんな状況で、どんな気持ちでいるのか話し合う。
パスカードを配布して、「今言いたくない」「ここでは言えない」ということを表明できるような工夫があるのもいいですね。
▼ポスターやカード、実践ガイドはこちらから購入もできます。
http://www.childnet.or.jp/contents/now/
これは主に小学生を対象としている実践ですが、より年齢が上の中高生や、大人の方にはNVCの感情とニーズのリストの活用もお勧めです。
▼感情・ニーズのリスト
http://nvc-japan.net/data/Feeling&Needs+intention.pdf
民主主義の根底は、「自分にアクセスすること」。
それなしには、本当に何かを伝え合うことは難しいですし、自分の人生は自分がつくっている、自分たちには状況を変える力がある、という感覚を持つことも難しい。教育は、その力を育む一助であってほしいと思います。
大人になればなるほど、感情を扱うという問題は、どんどん取り組むのが重たく、ハードルが高くなっていくように思います。
だからこそ、子どもの頃から、気持ち・感情を言葉にして捉え、人に伝える練習を、たくさんできればいいですね。